カフェの上にある部屋に戻り、荷物と部屋の鍵を持ってまたカフェのおばさんのところに戻った。鍵をおばさんに返すと、おばさんはにこやかに「オブリガーダ!」と言って私たちを見送ってくれた。チェックアウトは拍子抜けするくらい簡単に終わってしまった。鍵を持ったまま消えてしまうような人はいないのか、というくらいペンションを借りるのに必要な手続きはまったくなく終わってしまったのだ。ナザレのペンションはどこまでも素朴であった。
![]() 私たちが泊まったペンション |
![]() ペンションの看板 |
時間まで、バスターミナルで待った。最後にあの客引きのおばさんにもう一度会いたかった。会うたびに最高の笑顔で挨拶してくれたあのおばさん。私たちは大好きになっていた。毎日バスターミナルの近くでおばさんをみかけたので、今日もいるかと思ったが、とうとうおばさんには会えずに終わってしまった。とても残念だった。
ほぼ予定通りにバスが来た。ナザレが始発ではないのに、この正確さに驚いた。本当にこのバスがリスボン行きでいいのか心配になり、バスの前の表示を見に行こうとしたら、そばにいたお姉さんが親切に「これでいいんだよ」と教えてくれた。バスの運転手さんも、「これでいいんだよ」と優しい笑顔で教えてくれ、荷物などもとても親切にトランクに入れてくれた。
今回のことだけに関わらず、本当にこちらの人は、赤の他人の私たちに優しかった。文章にすると些細なことばかりかもしれないが、日本から遠く離れた異国の地では、ちょっとした親切も身にしみて嬉しいものなのだ。日本で私は見ず知らずの外国人に、自分からこれだけ優しく笑顔で接することができるだろうか。ちょっとした態度で人をこれだけ幸せな気分にできる。私もそんな人になりたい。
バスは2階建の新しいものだった。ナザレの町とはこれでお別れ。後ろ髪を引かれる思いで出発した。次に来る時はもっとゆっくり滞在しよう。さようなら、ナザレ。
リスボンまでの帰りの道は、とても早く感じた。天気もずっと良く、途中の田舎の景色がとてもきれいだった。

オビドスの町もよく見えた。考えてみれば、ナザレに行っている間、ずっと天気が良かった。リスボンではあんなにころころ変わる天気だったのに、ナザレではずっと晴れていたのだ。地形のせいなのか、それともたまたま運が良かっただけなのか、よくわからない。
ほぼ予定通りの11時10分にリスボンに到着した。

リスボンの天気もとても良い。行きと同様、Sete Riosの鉄道の駅から電車に乗り、地下鉄を乗り継ぎ、またムンディアルホテルに戻ってきた。
ナザレに行ってきた後のリスボンは、とても都会的に見えた。東京から来たばかりの時は、リスボンはのんびりしていて人も少ないような気がしたのにだ。人もとても多く感じ、みんな垢抜けている気がする。もちろん、ナザレのおばさんたちが着ているような伝統衣装を着ている人などいない。
私たちは、ナザレのおばさんたちやのんびりしたナザレの町をとてもに懐かしく感じた。リスボンもいいが、あのゆっくりと時間が流れているナザレにいつかまた行きたいという思いが強くなったのであった。
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