またしばらく海岸でゆっくりすることにした。またきれいな貝殻をいくつか拾った。海にいると寒さも忘れてしまう。いくら見ていても飽きないのだ。
私は海のない県(関東地方のある田舎)で育ったせいだろうか。小さい頃から海に対する憧れが強かった。小さい頃、毎年家族で夏休みに海水浴に行った。家族で行く楽しさと海の楽しさで、私にとって1年で最大のビッグイベントだった。朝暗いうちに車で出発する時の興奮を今でもよーく覚えている。そのためなら、朝早いのもちっとも苦痛ではなかった。いや、むしろ暗いうちに起きて出かけるというのが、かえってわくわくしたのであった。その時のわくわくが私を旅行好きにしたのだろうか。
とにかく、私は海が大好きである。たとえ泳げない冬の海でもいいのだ。海をボーっとみているだけで、心が洗われる気がする。それに波の音がなんと心地よいことか。しばらく自分の世界にひたってしまうのであった。

ぶらぶら町を歩いているうちに、夕方になってきた。今日は、断崖絶壁の上にあるシティオ地区から、ナザレの夜景を見てみることにした。またケーブルカーに乗って、シティオ地区を目指した。
ケーブルカーの運転手は、昨日と同じお姉さんだった。やはり、乗客は数人だけ。ケーブルカーが上にあがるにつけ、町並みが見えてきたが、思ったよりも町の灯りが少ない。主に海岸沿いのレプブリカ通りしか、明るい電灯はついていないようだ。
昨日と同じ様に、シティオ地区の広場に行った。夜景を見に来る人が多いのではないかと思ったが、ほとんど人はいなかった。そこからナザレの町並みを見ると、やはり町の灯りが少ないものの、海岸にそって電灯が明るくついている景色はとてもきれいだった。

ヨーロッパの町は、私が見てきた限りでは、総じて日本のように街灯を煌々とつけるところは少ない気がする。オレンジ系のぼんやりとした街灯を使っているから、日本の都会のきらびやかな夜景はみられない。しかしぼんやりと輝く町並みも、それはそれで風情があり、幻想的でさえあった。
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