こうして、お腹も心も満足した私たちは、またナザレの町をぶらぶらした。私たちのペンションに近い通りの角のところにあるお店で、素敵なストールを見つけた。いかにも手編みといった感じで、羽織るだけでなく、家事もしやすいように背中で紐が結べるよう工夫してある形だった。20ユーロだったので、母のお土産に買った。
その後レプブリカ通りのお店で、さっきのと色違いの同じ形のストールを見つけた。さっきのは茶色で地味だったので母に買ったが、今度見つけたのは明るい水色で、とてもおしゃれな感じだった。黒いセーターの上などに羽織ったら、どんなに素敵だろう、と思わず見とれてしまった。
すると、すかさずお店のおばさんが登場。にこにこしながら私にストールを勧めてきた。値段を聞くと、私がさっき買ったストールを指差し、「同じ値段よ」とにこにこして答える。なぜさっき買ったストールの値段を知っているのか?というか、同じ値段でいいということなのか?「20ユーロ?」と聞くと、「そう、そう」と満面の笑顔で答えてくる。
しかも、「18ユーロでもいいよ」とまで言ってきた。私がさらに迷っていると、おばさんはにこにこしながら、店の奥から私がさっき買ったのと同じ様なストールを持ち出し、「うちにもあったのに」とアピールしてきたのだった。
そのおばさんの様子が、まるで無邪気な子どものようで、何ともかわいく笑えて来た。その後も迷う私を放っておきながらも、みーちゃんにこっそりその他の種類のストールを指差し、「ほら、うちにはこんなに沢山の違う色があったのにね」などと言っていたのだ。何とも憎めない、茶目っ気のあるおばさん。私はこのおばさんが大好きになってしまった。
ストールはとても気に入ったし、18ユーロは安い。あとは荷物になるのが嫌なだけだったけど、荷物はぎゅうぎゅうに詰めるとして、やっぱり買うことにした。日本に帰ってから後悔するのはいやだからね。
みーちゃんは、ここで素敵な白い巾着袋を買った。その巾着袋も汚れたりしていなかったのに、店頭に並んでいたからと言って、わざわざ新しいものを出してきて売ってくれたおばさん。外国でよくありがちな、粗悪なものを押付けるようにうるような人とは正反対だ。素朴でとても笑顔の素敵な人だった。商魂もたくましかったけどね。
買い物を済ませ、またレプブリカ通りをぶらぶらと海を見ながら歩いた。昨日、お昼を食べたマール・ブラヴォの客引きのお兄さんが、今日はオフだったのか私服でどこかにいくところだった。私たちを見ると、まるで友達のように挨拶をしてくれた。私たちが買い物をしたお土産屋さんのおじさんも、出会うととても親しげに挨拶してくれる。
ペンションの近くまで戻ってきたら、初日に出会ったペンションの客引きのおばちゃんに会った。おばちゃんは満面の笑顔で私たちに挨拶してくれた。そして、「1泊、2泊、3泊・・・、何泊泊まってもいいんだよ。」と優しい笑顔でいい、私たち2人の顔をまるで子どもの顔をなでるかのようになでてくれるのであった。
このように、ナザレに数日いただけで、たくさんの人が私たちに親しげに挨拶してくれるようになった。挨拶できる人がいる、ということは何て嬉しいことか。この時心から感じた。私たちがこの町に受け入れてもらったような気がしたのだ。
この季節外れの観光客がほとんどいない時期、東洋人の私たちはとても目立つ存在だったのかもしれない。いずれにせよ、私たちの顔を覚えてくれ、親しげに挨拶してくれるのは、居心地が良かったのだ。ナザレの人たちの素朴な温かさを感じた。
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