
7つの丘にまたがっているというだけあって、リスボンは坂の多い街だ。それがリスボンらしい風情のある景色を作っている。リスボンというと、ローマのように遺跡や観光名所が沢山あるわけではない。しかし、何を見るわけではなく、町の生活を感じながら、のんびりぶらぶら歩くのが好きな人には、リスボンはとてもいい町だと思う。
バイシャ地区は、坂の多いリスボンの中において、平らな地区だ。フィゲイラ広場のすぐ横には、ロシオ広場という大きな広場が広がっている。
![]() ロシオ広場 | ![]() ロシオ広場のオベリスク |
リスボンで一番賑やかな広場らしい。ここから、テージョ川に面したコメルシオ広場まで一帯は、碁盤目状の街並みになっていて、色々なお店やレストラン、お土産屋さんなどが建ち並んでいる繁華街となっている。
ロシオ広場からコメルシオ広場までまっすぐ走っている碁盤目状の通りの中で、アウグスタ通りというのがある。ここは歩行者天国で、広い道の真ん中には、オープンカフェのテーブルや椅子が並んでいたりして、とても賑やかな通りだ。今回私たちが行った時期は、クリスマスシーズンだったため、バイシャ地区全体が夜はイルミネーションで華やかになっていた。碁盤目状のそれぞれの道路によってイルミネーションが異なっている。リスボンにしては派手な感じのイルミネーションだった。
イルミネーションがあったためか、私が7年くらい前に行った時のリスボンよりも賑やかな印象を受けた。私が以前行った時は、7月末の真夏であった。このアウグスタ通りを初めて歩いた時の印象は、夏であるにも関わらず、何となく閑散としたイメージを受けた。閑散とした、というと悪いイメージを抱くかもしれないが、そうではなく、いい意味でのんびりとしていて、東京などとくらべると人も多くないし、がつがつしていないといったような印象をもったのだ。
昔、高校生の頃世界史の勉強が一番好きだった。今でもポルトガルと言えば“大航海時代”という言葉を連想してしまう。そのくらい、1400年代におけるポルトガルの世界に対する影響力は大きかったのではないかと思う。
実際、ポルトガルから日本に入ってきたものも多い。“天ぷら”“カステラ”“コンペイトウ”などという言葉は、ポルトガル語が元になっているという。他にも沢山ある。日本にもこれだけ多くの影響を残した国だ。リスボンに行くまで、その時の栄華を今でも残した華やかで都会的な町を何となく想像していた。
しかし、実際にリスボンに行ってみると、思っていた町とはちょっと違っていた。町全体の雰囲気が、なんと言ったらいいのだろう、昔の栄華はどこへやらといった感じの、東京などとくらべるとちょっとさびれた、のんびりとした、庶民的なにおいが漂うものだったのだ。私にとって、この雰囲気がとても居心地が良く、それになんと言っても異国を旅をしているという感じを抱かせてくれたのだ。
考えてみると、東京や日本の大きな町が近代化されすぎているのかもしれない。私たちはそれに慣れてしまっている。そのような生活に慣れてしまっているから、リスボンの町でこのような印象を抱いてしまったのかもしれない。私の個人的な感想なので、人によってリスボンの町に抱く感想は違うと思うが、ヨーロッパの他の大きな都市とはまた違ったリスボンは、訪れる価値はおおいにあると思う。
アウグスタ通りをまっすぐテージョ川方面に進んでいくと、重厚なアーチがあり、それを抜けるとコメルシオ広場に出る。
![]() 重厚なアーチ | ![]() コメルシオ広場のドン・ジョゼ1世騎馬像 |
私たちは、まだ朝の9時過ぎにバイシャ地区をうろうろしていたので、もちろんイルミネーションはついていないし、人もまだ少なくお店もほとんど開いてない。静かな通りをコメルシオ広場まで向かった。
テージョ川に面した広場は、広々としていて、その向こうにあるテージョ川の水面が、朝日に輝いてまぶしかった。テージョ川はとても大きく、対岸の景色が見えるものの、何となく海をイメージしてしまう。

大きな船がとまっていたり、リスボンと言えば“大航海時代”というイメージがあるからだろうか。リスボンと言えば、大きな港に面していると思っていたのだ。

旅行に出かける直前、姉から電話がかかってきて、「リスボンにヨーロッパ1番の大きさのクリスマスツリーが建っているってニュースで言ってたから、ぜひ見て来て」と言われた。きっとこのツリーのことだろう。昼間は鉄骨だけのもので面白くも何ともないが、かなり巨大なものなので、夜のイルミネーションはさぞかし豪華なものだろう。夜一度くらいは見にこようと思った。
しばらく、バイシャ地区をうろうろ歩いたが、サン・ジョルジェ城という、小高い丘の上にある現在は公園になっているところに行って、朝のリスボンの町を見下ろしてみることにした。

そこからは、道がごちゃごちゃと迷路のように続いているためか、ガイドブックにはこれといってサン・ジョルジェ城にいたる正確な道は記載されていなかった。バスでの行き方は載っていたが、私たちはのんびり歩いて登りたかった。そのほうが町の雰囲気を楽しめるからだ。時々ある看板を頼りにしながら、坂道を登っていった。細いくねくねとした石畳の道の両側には、小さなお土産屋さんやレストランが所々あった。何の教会だかわからないが、古そうな趣のある教会もあった。
![]() 街角のレストラン | ![]() 街角の教会 |
本当にこの道でいいのか心配になりながらも、とにかく上に向かって登っていくと、しばらくするとまた看板が出てくる。とりあえず登っていけばいいらしい。途中で、見晴台のようなところに出た。そこは、冬なのに赤いブーゲンビリアが咲いていて、その向こうには、真っ青の空と、アルファマ地区のオレンジ色の屋根の町並み、そしてテージョ川が見渡せる素晴らしい景色のところだった。

これだけ青い空と赤いブーゲンビリアの花を見ると、冬ではないような気がしてきてしまう。すごい暖かいというわけではないが、南国の町に来たという気がした。
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